静岡県はちょうど日本の真ん中あたりに位置することもあって、葬儀においては東日本と西日本の両方から影響を受けてきました。そのため、同じ県内で行われるお葬式なのに、お通夜の後すぐに火葬してから告別式を行うところもあれば、お通夜、告別式と故人の遺体を安置し、式が終わってから火葬場に向かうというところもあります。
これは、東と西のどちらから影響を受けたかがわかる、非常に興味深い現象です。また、会館での葬儀が当たり前になりつつある中で、茶畑などの自然が豊かな地域では、隣近所のお付き合いがまだまだ残っており、お葬式というのはその隣近所がもっとも助け合うときだという意識を、いまだに強く持っています。
そのため、隣組、隣保班、または弔い組と呼ばれる組織が結成され、近隣の住民が総がかりで葬儀を手助けする姿は、今ではむしろ貴重な助け合いに思えてきます。
静岡県内で行われるお葬式でもっとも特徴的かつ異なる点といえば、なんといっても火葬の順番です。お通夜の後、先に火葬をしてから告別式を行う前火葬と呼ばれる方法で行うところもあれば、一般的な葬儀のスタイルと考えられているお通夜、告別式が終わった時点で火葬に向かう、後火葬という方法をとるところもあります。
これは、静岡県がちょうど日本の真ん中あたりに位置しており、地域によって東西の影響をそれぞれどちらかから強く受けたことによるものと考えられています。さらに、お葬式があるとなれば、隣近所の人たちが式を執り行うために必要な準備や手助けを行う近隣組織がいち早く機能するのも大きな特徴です。
そのため、静岡県では市内であっても会館ではなく自宅からお葬式を出すところが多いのが、日本の他の都市部の傾向ともっとも違う点だと言えるでしょう。